けんぽの部屋
2022年12月07日
「眼底検査を受けていますか?」富士フイルム健康管理センター 臨床検査技師長 藤崎誠

皆さんは「眼底検査」をご存知でしょうか?
目の検査といえば、多くの方は健康診断での視力検査を思い浮かべるのではないでしょうか。

1.眼底検査とは

「眼底検査」は読んで字のごとく眼を調べる検査の一つで、眼底カメラを用いて、眼球の奥にある網膜・視神経・血管の状態を調べる検査です。眼底の血管は、人の体で唯一、直接観察できる血管です。この血管の状態を観察することで、高血圧や動脈硬化の程度がわかり、全身の病気が推定できるため、生活習慣病の発見に有効とされています。また、緑内障、糖尿病性網膜症、黄斑変性等、眼の病気の診断にも用いられます。

2.眼底検査でわかる病気の例

(1)正常内圧緑内障

緑内障は何等かの原因で眼圧が上昇し、それに伴い視神経が障害され、視野狭窄や視野欠損を起こす病気です。しかしながら、近年の調査では、眼圧が正常でも緑内障を発症する例(正常内圧緑内障)が多く報告されており、特に日本人に多いとされています。現在日本人の緑内障罹患率は40歳以上で約5%、70歳以上で約10%といわれ、高齢者の失明の原因で最も多い疾患といわれています。

(2)糖尿病性網膜症

糖尿病により高血糖の状態が長く続くと、眼底部では毛細血管瘤や出血などが生じ、やがて視力障害を引き起こします。これが糖尿病性網膜症です。糖尿病と診断されて5~10年で徐々に症状が現れるといわれていますが、ひどくなると網膜出血や網膜剥離などが起こって視力が低下したり失明したりすることがあり、糖尿病性網膜症は日本人の失明の原因で2番目に多い疾患といわれています。

3.検査を受けましょう

「正常内圧緑内障」「糖尿病性網膜症」のいずれも眼底検査で早期発見できますが、眼科だけでなく、人間ドックや健康診断でも検査を受けられる場合があります。富士フイルム健康管理センターも人間ドックの通常検査項目として実施していますので、早期発見、早期治療のため、自覚症状がなくても一年に一度は眼底検査を受けることをお勧めします。