けんぽの部屋
2024年04月30日
「座っている時間が長くなっていませんか」  新宿健康管理室 看護師 小池美紀

こんにちは。新宿健康管理室です。

2023年9月に新事業所に異動となり、半年が経ちました。それまでは駅直結事業所だったのが、最寄り駅から徒歩約10分の距離になり、忙しさを理由に全く運動が出来ていなかった私も、1日の歩数が約2000歩増えるようになりました。

 

私たちの生活・仕事環境は、機械化や自動化に伴い身体活動の不足、リモートワークなどの働き方の変化により座っている時間(座位時間)が長くなっていす。特に日本人の座位時間は世界20か国の中で一番長く、この時間があまりにも長いと健康問題を発生することが知られています。

                                        

 

  • 座位時間が長いと健康に影響が

座り続けると血行不良や代謝の低下がおき、下肢の筋肉が衰えます。脂肪や糖などの代謝が落ち、肥満、2型糖尿病、心臓病やがんになりやすいと言われています。

 

 

  • 座位時間が長いほど健康リスクは上昇、生活習慣病があるとさらに危険

日中の座位時間が2時間増えるごとに、死亡リスクは15%上昇することが示されています。(図1)生活習慣病のない人で、日中の座位時間が2時間増えるごとに死亡リスクが13%も上昇しました。

生活習慣病ごとに調べたところ、脂質異常症のある人では18%、高血圧のある人では20%、2型糖尿病のある人では27%も死亡リスクが増加しました。

 

 

さらに、高血圧、脂質異常症、糖尿病の保有数に応じて、座位時間と死亡の関係は大きくなり、これら3つをすべて保有している人では、死亡リスクが42%も高なっています。(図2)

 

 

 

 

厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では具体例として以下のことを推奨しています(以下抜粋)。

 

  • 個人差等を踏まえ、強度や量を調節し、可能なものから取り組む
     今よりも少しでも多く身体を動かす。
  • 歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日60分以上行う
    (1日約8000歩以上に相当)
  • 息が弾み汗をかく程度の運動を週60分以上行う
  • 筋力トレーニングを週2~3日行う
  • 座位行動(座りっぱなし)の時間が長くなりすぎないように注意する

 

座位時間が長いほど、死亡リスクの増加は明らかです。一方、1日60分以上の中強度以上の身体活動によって死亡リスクの低下が期待できることや、長時間の座位行動をできる限り頻繁に中断することが、食後血糖値や中性脂肪、インスリン抵抗性を改善し、糖尿病や心疾患などのリスク低下に重要なことも報告されています。

5月より2024年春「みんなで歩活」が始まります。運動習慣を無理なくつけるため、最初は強度を問わず、少しでも身体を動かすことが大切です。今より10分多く歩いたり、駅でエレベーターやエスカレーターを使用せずに階段を使ったり、無理のない範囲で日常生活の「座りっぱなし」を避けてみませんか。

 

参考・引用:WHO身体行動・座位行動ガイドライン2020
      厚生労働省 e-ヘルスネット 座位行動
      厚生労働省 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023
      京都府立医科大学 日本多施設共同コーホート研究事務局 プレスリリース 2021