けんぽの部屋
2023年05月09日
「週明け、連休明けのだるさの原因」富士フイルム健康管理センター 保健師 又吉由佳

 

新年度が始まりしばらく経ちました。学校や仕事で環境がガラッと変わった方も多いかもしれません。

平日は学校や仕事で疲れきって、週末にずっと寝てしまい、沢山寝たのに月曜日にダルさを感じることはありませんか。明日は休みだからと夜更かししてしまって、休みの日に普段より遅く起きるなど、平日と休日の過ごし方が異なっており、週明けの朝起きるのが辛いと感じている方もいるのではないかと思います。平日の疲れを取り戻そうとして、たくさん休んでリフレッシュしようとしたのに、翌週の始まりからだるいのは残念ですよね。

これらは、体内時計のリズムが乱れてしまうことが問題で起きています。社会的時差ボケ(ソーシャルジェットラグ)といいます。時差ボケというと海外旅行のイメージかと思いますが、私たちの日常生活でも結構身近に起こっているのです。毎週リズムが崩れる人は極端かもしれませんが、毎週海外旅行を繰り返しているような感じに近いかもしれません。

1 日の覚醒と睡眠のタイミングを司っている体内時計は、朝起きた時に浴びる太陽の光を手がかりにリセットし、1 日の時を刻んでいます。光による朝のリセットが毎朝起床直後に行われないと、その夜に寝つくことのできる時刻が少しずつ遅れます。遅く起きると太陽光による体内時計のリセットができないので、夜寝たい時間に眠れなくなり、朝寝坊の傾向になります。休日の2日間、3時間遅く起きるだけで、体内時計は45分程度遅れることが分かっています。しかも、1度リズムが乱れるとすぐに元に戻せません。週明けにしばらく眠気やだるさが続いてしまうのはそのせいです。

この社会的時差ボケ(ソーシャルジェットラグ)は、日中の眠気や疲労感をもたらし、日中の活動に悪影響になるだけでなく、気づかないうちに注意力の低下や記憶力・学習力の低下につながることがあります。また、代謝機能の低下や免疫力の低下、生活習慣病のリスク増加など身体の健康に影響するだけでなく、気分障害のリスク増加など心の健康にも悪影響になりかねないことを知っておきましょう。

この機会に、休日の朝もなるべくいつもの時間に太陽の光を浴びることを心がけ、休日の過ごし方を見直してみるのもいいですね。疲れきってしまってどうしても休みたいという時は、平日の睡眠時間プラス1時間程度を目安にするとよいようです。さらに、休日に寝だめをしなくても良いような平日の睡眠がしっかりとれるとよいと思います。

 

【睡眠による休養感を高める5つのポイント】

❶ 働く世代は1日6時間以上の睡眠を確保、 リタイア世代は長寝に注意

❷ 平日に良い睡眠をとることで、 寝だめや昼寝にできるだけ頼らない習慣づくりを

❸ 適度な運動習慣を身につけ、肥満に注意し、眠りの質を保つ

❹ 就寝前の食事、飲酒、喫煙、カフェイン、スマホは控える

❺ 光、温度、音に配慮した快適な睡眠環境を

 

参考、引用

良い目覚めは良い眠りから 知っているようで知らない睡眠のこと   厚生労働省

https://e-kennet.mhlw.go.jp/tools_sleep/

健康づくりのための睡眠指針2014    厚生労働省 健康局