けんぽの部屋
2025年10月7日
「日常生活のちょい足し運動で心身ともに健康に」 富士フイルム健康管理センター 保健師 島津若菜

今年は猛暑でしたが、徐々に涼しくなり、秋らしい気候になってきましたね。

秋といえば「スポーツの秋」ということで、先日友人とトランポリンをしたのですが、少し跳ねただけなのに疲労困憊、翌日は起き上がるのが一苦労なほどの筋肉痛となり、想定外の衰えにショックを受けるとともに、運動不足を痛感しました。振り返ると、もともと運動習慣がないのに加えて、日中に座りっぱなしの時間が増えたこと、この夏の暑さで駅から職場まで歩くのを止め、バスに乗って通勤していたため運動量が減っているのだと気づきました。

このままではいけないと思い、まずは駅から職場まで歩くことを再開しました。初めは億劫でしたが、朝から歩いてみると目が覚め、日差しを浴びて歩くと気持ちもスッキリしました。実際に、運動は骨を丈夫にし、筋肉を強化することはもちろん、血糖値や血圧の安定化を促し、肥満や動脈硬化といった生活習慣病を予防するなどの身体的なメリットも多くあります。さらに、運動をすると適度な疲労感を得られるため睡眠の質が上がります。また、軽い運動でもセロトニン、エンドルフィンといった心を安定させるホルモンが分泌され、ストレスホルモンの抑制にもつながるため、ストレス解消などのなどメンタルヘルスの改善にもつながります。運動にはこのような心身への効果がありますが、日常生活の運動量を少し増やすといった簡単なことでも、リフレッシュ効果が得られるのだと身をもって感じました。

運動の効果を体感したことで、さらにもう少し動いてみたいと思うようにもなりました。休日には知らない町へ出かけ散策をしたり、定期的に友人とハイキングに出かけたりなど休日の運動量も少しずつ増えました。その結果、最近は通勤の道のりもつらさを感じにくくなり、今まで重だるかった身体が少し軽くなったように感じています。また、誰かと一緒に運動することで、つらさや楽しさ、達成感などを共有できるので、一人で運動するときより億劫にならず続けることができました。誰かと一緒に運動するのも、運動を継続するコツの一つになるのだと改めて感じました。

この経験を通して、日常生活に少しプラスして運動するちょい足し運動は、普段の生活の「ついでに」体を動かす頑張らない運動習慣だと感じました。頑張らないものだからこそ負担なく続けることができています。最近では、もう少しついでにできる運動はないかと、意識して階段を使うこと、歯磨き中にかかとの上げ下ろしをしています。ついでにできる小さな活動を積み重ねることで、1日の運動量が変わってくると思います。

私が実践したことはとても些細なことですが、このような日常のちょい足し運動でも効果が感じられます。

厚生労働省の「アクティブガイド」では身体活動量や運動量を増加し、健康寿命の延伸や健康増進につながる対策として、今より10分多く体を動かす「+10(プラス・テン)」を推進しています。いきなり運動を始めるのはハードルが高いですが、歩幅を広くして歩くことやテレビを見ながらストレッチをするなどのちょっとしたことでも体力維持やリフレッシュにもなると思います。

体を動かすことを始めたい、習慣づけたいと思っている方がいると思いますが、まずは無理なく簡単にできることから始めてみませんか。小さなことでも継続することで、心身の変化を感じられると思います。

 

 

参考・引用

身体活動・運動不足 | 生活習慣病とその予防 | 一般社団法人 日本生活習慣病予防協会

運動がメンタルヘルスに与える影響 | 医療法人社団 平成医会

厚生労働省 アクティブガイド2023