皆さんこんにちは。YMM健康管理室の佐々木です。糖尿病という病気についてご存じでしょうか。生活習慣病の一つとしてよく耳にするかもしれません。糖尿病はいくつかの分類がありますが大半は生活習慣の悪化による『2型糖尿病』と言われています。これをお読みいただいている皆様の中には「運動をして、食事に気を付けてください」「体重を減らしてください」と言われている人もいらっしゃるかもしれません。「健康診断で引っかかるけど自覚症状はないし、特に困っていないから何もしていない」という方も少なくないかと思います。
糖尿病は自覚症状がほとんどなく、症状として現れたときには病状が進行している場合がほとんどです。健康診断を受けていない人では、病状が進行して合併症を併発してはじめて発覚することもある病気です。
■糖尿病とは
血液の中のブドウ糖が多くなりすぎる病気です。糖は体のエネルギーとして必要ですが過剰に摂取したり、糖を適切に処理するためのインスリンが不足すると血液中で処理しきれない糖が増えていきます。これらは血管壁を傷つけ様々な合併症のリスクを高めていきます。健康診断の結果をご覧になり、ご自身はどうか確認してみてください。
糖尿病のめやすを知っていますか?
血糖値 :空腹時126㎎/dl以上
HbA1c :6.5%以上
⇒HbA1cは過去1~2ヶ月間の血糖値を反映するものとして挙げられています。
具体的には、糖化ヘモグロビン(血液中のブドウ糖がヘモグロビンと結合したもの)がどのくらいの割合で存在しているかを%で表したものです。血糖値が高ければ高いほど糖化ヘモグロビンは増えるため、過去1~2ヶ月間の血糖値の状況をみることができます。当日の食事や運動など短期間の血糖値の影響を受けません。
■症状がないから安心ではない
最初にお伝えしていますが、糖尿病はよほど血糖値が高くならなければ症状が現れません。
血糖値が高いまま放置されると、血管を損傷して動脈硬化が進みます。
脳や心臓の血管を損傷 ⇒脳梗塞や心筋梗塞の原因となります。
目の網膜や腎臓、神経を損傷 ⇒「3大合併症(網膜症・腎症・神経障害)」を引き起こします。
■具体的な合併症
網膜症:出血や失明する可能性があります。
腎症:腎不全を引き起こします。日本の透析の原因疾患の第1位です。
神経障害:感覚神経・運動神経・自律神経に障害がでます。
感覚神経に障害が起こると…
〇足先からのしびれや痛み、冷感などが起きたり、ものに触れた時の感覚が鈍くなったりします。
運動神経に障害が起こると…
〇筋力が低下して歩きにくくなるなどの症状が表れます。
自律神経に障害がおこると…
〇自立神経は血圧の調整や消化、排泄などを調整している神経で、障害されると、立ちくらみ・発汗異常・
消化不良・下痢や便秘・排尿異常・勃起障害などが起こります。
目の神経に障害がおこると…
〇眼球の動かしづらさ、二重に見えるといった症状が表れます。
また糖尿病が悪化すると動脈硬化が進行して足先の血液循環が悪くなります。免疫機能の低下から細菌などに感染して炎症を起こし、足の組織が死んでしまうこと(壊疽〈えそ〉)もあります。同時に神経障害が起きていると痛みを感じにくく発見が遅くなり、足の壊疽が進行した結果、下肢切断に至ることもあります。
また、著しく高い血糖は、それだけで昏睡(こんすい)などをおこすことがあります。(急性合併症)
■健康診断を受けて、生活習慣を改善しましょう
高血糖における症状は「喉が渇く」「水をよく飲む」「尿の回数が増える」「体重が減る」「疲れやすくなる」などです。なんとなくだるくて具合が悪いという方が糖尿病の高血糖症状であったケースが何度かありました。自覚症状はなくとも、定期的に健康診断を受けて、糖尿病の傾向を指摘されたときは放置せずに生活習慣を見直していただけると幸いです。以下生活の注意点をまとめていますのでご参照ください。
・食事は腹八分目でやめる
・野菜を積極的に摂取する
・散歩などの運動を少しずつでも始める
・肥満の方は体重を5~10%減らす
・禁煙する
・健康状態の確認のために健診を受ける
・ストレスと上手につきあう
参考
・厚生労働省HP 健康日本21アクション支援システム Webサイト
・国立健康危機管理研究機構 糖尿病情報センター 糖尿病予備群といわれたら | 糖尿病情報センター
・日本生活習慣病予防協会 生活習慣病とは | 生活習慣病とその予防 | 一般社団法人 日本生活習慣病予防協会
・国立循環器病研究センター
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