けんぽの部屋

2022/01/17

「あ~あ、美味しかった!」 保健事業G 安部

食欲の季節になってきた。短かったとはいえ、秋の味覚、そしてクリスマス、お正月。
お鍋に新酒、新米、美味しいものがてんこ盛りの季節である。
美味しいものを「美味しい」と思えるのは健やかな体、心、そして歯があるお陰だとあらためて思う。

少し胃の調子が悪くても、感じる味は格段に落ちる。
例えば、舌に口内炎ができると、よくかまずに食べることになり、
その結果胃が痛くなる、という経験はよくある。
これでは食材や作ってくださった、または採ってくださった生産者さんたちに
申し訳がたたないことである。健康は一つがだめになると五月雨式にガタがくるようだ。
ということは、日頃のメンテナンスが大事、ということになる。
知らないうちにくずれていた、では、健康は保てない。
要は、こまめにチェックを受け、体制をたてなおすことが必要ということになるだろう。
気づかずに食べ続けると、美味しいものを美味しいと思えなくなる日が近づいてくる。

幸い2021/09から、歯の健診も無料でできるようになった。
(https://www.fujifilm-kenpo.or.jp/kenkou/yobou/shikakenshin/)
歯は認知症、転倒とも関係していると言われ、適切な治療を受ける必要が叫ばれている。
要介護になるリスクも20倍と聞く。8020運動と言われるように、
80歳で20本残っていることが理想とされる。
20本残っているときちんとかめるのだそうだ。近年は残っている歯が増加傾向らしい。
これは、「痛いから歯医者さんに行く」というのではなく、
定期的に歯石の除去など、メンテナンスをするという予防の意識が高まってきたお陰だそうだ。
平均寿命が延びてきたのは医学と予防医学のお陰だが、歯も予防したい。

人生100年時代と言われる今、歯も健やかに保ち、さらに健康寿命を延ばすことに貢献しよう。
美味しいものを美味しく食べる、そのような生活を重ねたい。
そして人生が終わるときも、「あ~あ、美味しかった!」と人生を堪能して終わりたいものである。

 

 

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子供の頃は虫歯が出来て歯医者さんに通ったことが多かったが、
最近は、数年ブランクを空けて歯医者さんに行っても虫歯が出来てない。
確かに子供の頃はちゃんと歯磨きをしていなかったが、
何故、最近は虫歯が出来ないのか疑問であった。
ちょっと気になったので調べることとした。

 

論理的に飛躍した部分やエビデンス不足な部分もあるが、間違い等はご容赦願います。

 

 

 

まず、下図に厚生労働省の「平成28年歯科疾患実態調査」から、

20本以上の歯が残っている人の割合(残存歯数割合)を示す。

(出典)https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/62-28.html

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

図1 20本以上の歯が残っている割合

 

図1から、各年齢階層とも年々残存歯数割合が増加していることが伺える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

図2 20本以上の歯が残っている割合(折れ線ブラフ)

 

 

図2は、厚労省の棒グラフを折れ線グラフに置き換えたものである。
この図を見ると、年齢階層が5才刻みで、統計もほぼ5年毎であると言える。

 

そこで、各年齢階層で5年毎にさかのぼり、
各年齢階層が各年代に20本以上の歯を有する割合に置き換えた。
図3がその結果であり、各年齢階層の経時変化と捉えることができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

図3 各年齢階層の20本以上の歯が残っている割合

 

 

ここで注目する点は、生まれた年代によって異なった挙動であることがわかる。
例えば、2016年に年齢階層が「80-84」才の人は、
1993年時点では「60-64」才であり、残存歯数割合が49.9%であるのに対し
2016年時点で「60-64」才の残存歯数割合が85.2%であり、両者の乖離が大きい。

 

そこで、各年齢階層が「60-64」才時点での、残存歯数割合をプロットしたものを図4に示す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

図4 60歳時点での20本以上の歯が残っている割合

 

 

この図から、若い層になるに従い、残存歯数割合が増加していることがわかる。

 

そこで、何故、近年残存歯数割合が増加しているかを調べるために特性要因図を作成した。
(フロスやデンタルリンスまでは含めていない)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

図5 特性要因図

 

 

感覚的には要因全てが良い方向に向かっていると考えられ、残存本数が増加していると考えられる。
上記の要因全ての検証は行えないが、いくつかを検証してみることとする。

 

まずは図6に歯科医師数・歯科衛生士数の推移、図7に健診受診率の推移を示す。
いずれも年々増加・向上していることが伺える。
これにより、歯科医師数・歯科衛生士数が増加していることから歯科が受診しやすくなり、
健診受診率の向上により歯科受診するきっかけも多くなっていると考えられる。

歯科医師数:(出典)厚生労働省 
      歯科医師の需給問題に関するワーキンググループ 平成28年
      https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_247468.html

健診受診率:(出典)厚生労働省
      国民健康・栄養調査 平成28年
      https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/gaiyo/k-eisei.html

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

図6 歯科医師数・歯科衛生士数の推移

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

図7 健診受診率の推移

 

 

 

 

 

次に歯磨きに関して検証する。

まず、歯磨き回数を図8に示す。

(出典)https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/62-28.html

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

図8 歯を磨く頻度の推移

 

1993~2016年にかけ、毎日2回以上歯磨きする層が増加しており、
毎日2回以上歯磨きの傾向と残存本数の増加の傾向との相関係数は0.995と非常に高い。
このことから、歯磨き回数の寄与は大きいと推測される。

 

次に、フッ化物配合含有の歯磨き粉の普及率を図9に示す。

(出典)ライオン歯科衛生研究所
    https://www.lion-dent-health.or.jp/statistics/husso_dmft.htm

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

図9 フッ化物配合含有の歯磨き粉の普及率の推移

 

歯磨き回数と同様に、フッ化物配合率は年々右肩上がりに普及率が向上し
2002年からは、80%以上を維持している。
また、上限1,000ppmと定められていたフッ化物配合濃度の上限が、
国際基準(ISO)に準拠し2017年に1,500ppmを上限としたことも良い方向である。

 

歯ブラシに関しても、毛先が10umと超極細毛を用いたものも発売されており、
歯のすみずみまでフッ化配合物や各種薬用成分が届けていると推測できる。

 

また近年では、歯磨き後に薬効成分を口内に残存させるため、
うがい時間や回数を少なくすることが言われており、
(出典)ライオン歯科衛生研究所 1回15mlで5秒間
     https://www.lion-dent-health.or.jp/labo/article/care/05.htm
これも良い方向であると言える。

 

歯磨き粉の中には、
潤滑剤、清掃剤、発泡剤、香味剤、粘結剤、薬用成分などが含まれており
その材料や配合などは各社が工夫を凝らしている。
特に薬用成分は重要であるが、製品が多岐に渡り選択が難しいと感じる。
そこで、歯磨き粉の主な製品の発売の歴史を振り返りたいと思う。

 

(出典)ウィキペディア
  1964 ライオン「デンターライオン」
  1968 ライオン「エチケットライオン」
  1970 ライオン「ホワイト&ホワイトライオン」
  1970 花王「ガードハロー」
  1981 ライオン「クリニカ」国内初の量産品フッ化物配合歯磨剤
  1981 サンスター「アクアフレッシュ」
  1985 花王「ガードハロー薬用つぶ塩」
  1989 サンスター「G・U・M(ガム)」
  1990 花王「クリアクリーン」
  1992 gsk「シュミテクト」
  1993 サンギ「アパガード」
  1993 ライオン「デンターシステマ」
  1998 サンスター「Ora2(オーラツー)」
  2004 ライオン「PCクリニカ」
  2006 花王「ピュオーラ」
  2007 ライオン「クリニカ アドバンテージ」
  2007 ライオン「デンター クリアMAXライオン」
  2008 サンギ「アパガードプレミオ」
  2017 上限1,000ppmFと定められていたフッ化物配合濃度の上限が、
     国際基準(ISO)に準拠し1,500ppmFを上限とした
  2017 ライオン「NONIO」

 

1981年の国内初の量産品フッ化物配合歯磨剤発売や、
2017年のフッ化物配合濃度の上限引き上げは、エポックメイキングであった。
また上記の製品以外にも沢山の製品が市場に導入され、競合各社による歯磨き性能の向上により、
より良い歯磨き粉を享受できていると思うと、とてもありがたいことである。

市場のシェアでは、
クリニカ、GUM、クリアクリーン、シュミテクト、デンターシステマ
などが良く購入されているようである。
やはり歴史ある定番商品が良く購入されているとみてとれるが、
最近発売になったNONIOなどもシェアを伸ばしているようなので、
今後のさらなる新商品にも期待したい。

 

エビデンスがある要因を調査したが、上述のように、様々な要因が+方向に向かい、
残存歯数が増加していると言える。

 

そこで、健保職員に使用している歯磨き粉のアンケートを行った。
その結果は、愛用されている歯磨き粉ベスト5は・・
  1位:クリアクリーン
  1位:クリーンンデンタルF
  3位:クリニカアドバンテージ
  4位:Ora2
  5位:NONIO
  5位:ピュオーラ
複数票が入っている上位は定番商品が並んでいる。
その他には、すごく効果がありそうな高性能歯磨き粉がいろいろあがっていた。
また、世界にはISO基準を遥かに超えたフッ素濃度5,000ppmのスーパー歯磨き粉があるようだが、
薬用成分などトータルでの性能が不明であるので、
入手性を含め国産の製品から選択することがよいと思う。

 

また購入理由に関しては、
  1位:継続購入
  1位:家族が購入
  3位:薬用成分
  4位:価格
  4位:味
  4位:ホワイトニング効果
継続購入や家族購入が多かった。
いろいろ新製品も出ているので、薬局で見てみるのもよいと思う。

 

また、アンケート回答の中で、
1回の歯磨きで4通りの方法で歯磨きをする人がおり驚かされた。
  1番目:市販の歯磨き粉
  2番目:デンタルフロス
  3番目:歯医者で購入した歯磨き粉
  4番目:デンタルリンス

 

 

最後に、歯磨きに着目すると、残存歯数効果は、
歯磨き粉、歯ブラシ、回数、時間、ブラッシング方法、うがい、他の要因が
複雑に影響すると推測される。
歯磨き粉や歯ブラシは自分に合った良いものを選択し購入すればよいが、
回数、時間・ブラッシング方法、うがいは十分効果があるように歯磨きをする必要がある。

歯磨き回数は1日1回でもOKとする歯科医師のコメントもみられるが、回数を1日1回とするならば、
その他用要因(時間、ブラッシング方法、うがい、他)を強化する必要があるであろう。
例えば十分な歯磨き時間を確保するには、
「TVを見ながら歯磨きをする」などの「ながら磨き」のような工夫も必要であり、
「ながら」には何が良いかいろいろ試したいと思う。

私は、歯磨き粉は「クリニカアドバンテージ」、歯ブラシは「システマ」を愛用しているが、
今後は、1つに固定せずに良いものをいろいろ試していきたいと思う。
ということで、さっそく購入してみた。楽しみである・・・
総合的な優劣はすぐには判断できないので、
とりあえず中間特性を「うがいを最小限度に出来る歯磨き粉」として検討予定である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここで、健保から歯科検診のお知らせです。
良い歯磨き習慣で健康な歯を保ち、
お口の状態を定期的にチェックしてはどうでしょうか?

 

【歯科健診のすすめ】

健保では加入者向けに
無料の歯科検診をご用意しております。
この機会に、ぜひ受診をお願いいたします。
https://www.fujifilm-kenpo.or.jp/kenkou/yobou/shikakenshin/

 

<参考資料>
日本歯科医師会 https://www.jda.or.jp/
日本歯磨工業会 https://www.hamigaki.gr.jp/
歯磨剤 https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%AF%E7%A3%A8%E5%89%A4
クリニカ https://clinica.lion.co.jp/
ウィキペディア https://ja.m.wikipedia.org/wiki/